中部大学工学部
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山内研究室 Biomimetic Intelligent System Laboratoryyamauchi[at]cs.chubu.ac.jp |
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制限付き神経回路の電力制御への応用 神経回路の関数近似能力を利用して電力制御への応用を目指しています。一例として太陽電池の負荷制御を取り上げて研究しています。 太陽電池はそのまま負荷に接続してしまうと、本来の発電能力を発揮できないことがあります。そのため最大電力点追従装置(MPPTコンバータ)を通して負 荷に接続します。このMPPTコンバータの制御に神経回路を使用します。つまり、太陽電池の特性を学習することで高速に最大電力点を追従する方式を研究しています。 これを実現するにあたって考慮しなければならないのは、電力制御を行うマイコンの中で、いかにして神経回路の学習を実行するのかということです。小型のマ イコンでは当然ながらメモリ容量と計算パワーが限られます。そこで、当研究室では制限付き神経回路を新たに開発して実装しています。この神経回路は Limited General Regression Neural Network (LGRNN)でkernel法を使ってlearning on a budgetを実現します。つまり、本来ならば学習するのにメモリ容量以上のリソースを必要とする大量の学習データが逐次的に与えられても冗長な記憶等を 選択的に忘却することによって追加学習を継続します。 ※LGRNNは最近、最新版のLGRNNPlusに進化しました。LGRNNPlusはLGRNNよりもさらに平均20%累積誤差を小さく抑えることが出来ます。(詳細説明) ただし、ここで提案した手法は、太陽電池パネルの最大電力点のピーク点は常に1個になる場合にのみ対応出来る手法です。複数のパネルに対処するには、個々のパネルに提案コンバータを設置して、それらを並列接続して発電電力を取り出すという使い方になります。 しかしながら、このように電力のピーク点が1つしかないパネルは実は皆無であり、通常は1枚のパネルの太陽電池を複数のクラスに分けて、それらを直列接続してバイパスダイオードを並列接続してあるのが普通です。この方が部分的に影が出来たとしても影がかかっていない方のクラスから発電電力を取り出すことが出来るのです。 太陽電池の両端電圧(横軸) VS 出力電力・電流(赤:電流、緑:電力)[5]の図を転記 このように多峰性があるパネルがほとんどである。 このような現状を踏まえ(照度、パネル表面温度)から複数の最大電力点ピーク点を学習できるモーダル回帰を学習エンジンとすることにしました。(照度、パネル表面温度)は部分影の情報までは含まれておらず、この情報から部分影情報を踏まえたピーク点を推定することは難しいのです。いわば欠落したセンサー情報からの推定を強いられる状況であり、複数の解候補を同時に出すことになります。 これらの解候補は、絞り込まれた解候補であり、最大電力点はこれらの解候補のなかから見つければ良いため、探索時間を大幅に減らすことが出来ます。私達はこのために、①瞬時追加学習可能、②LGRNNと同様にリソース制限以内で追加学習を継続可能、なモーダル回帰エンジンを開発[4]して搭載することにしました。 組込用モーダル回帰エンジンを使ったMPPTコンバータの構成図[5]の図を転記 シミュレーションの結果、本手法は部分影のある太陽電池のMPPTを実現するPSO等の手法に比べて高速に最大電力点を追従できることを示しました。 Modal回帰を使ったMPPT手法の計算機シミュレーション 緑:提案法、紫:PSOを使った場合 オレンジ:日射強度 緑が最も高速に収束している まとめ: 組込用学習エンジンを使って太陽電池の特性を学習することで、最大電力点を高速に発見する手法を紹介しました。 しかし、太陽電池パネルにシリコン太陽電池を使う場合、既存の高速MPPT手法であるスキャン法と比べたとき、最大電力点を発見できるまでの遅れ時間を短くするという意味では、大きなアドバンテージはありません。この場合のメリットはマイコンと通常の電子部品のみで構成できるという点と言えるでしょう。 関連論文 [1]Koichiro Yamuchi. "Incremental learning on a budget and its application to quick maximum power point tracking of photovoltaic systems", Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, vol.18, No.4, pp. 682--696 (2014).(LGRNN) [2]Yasushi Kohata, Koichiro Yamauchi, Masahito Kurihara . "High-Speed Maximum Power Point Tracker for Photovoltaic Systems Using Online Learning Neural Networks", Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, Vol 14, No 6, pp.677-682 (2010). [3]K.Yamauchi: "Quick continual kernel learning on bounded memory space based on balancing between adaptation and forgetting" Evolving Systems (2022) (LGRNNPlus) https://doi.org/10.1007/s12530-022-09476-8 [4]Koichiro Yamauchi, Vanamala Narashimha Bhargav . "Minimum modal regression", in Maria De Marsico, Gabriella Sanniti di Baja, Ana Fred , editors, ICPRAM2018 7th International Conference on Pattern Recognition Applications and Methods, pp. 448--455, January, (2018). [5] Koichiro Yamauchi . "A Quick Maximum Power Point Tracking Method Using an Embedded Learning Algorithm for Photovoltaics on Roads", in Dr. Natarajan Prabaharan , editors, Recent Developments in Photovoltaic Materials and Devices , InTechOpen, pp. 85--106, November, (2018). 注)文献[5]の掲載元であるOpenAccess専門の出版社について。文献[5]を出版後、この出版社については様々なご意見があることが分かりました。当時、熱心な出版のお誘いを何度もいただいたため、引き受けさせて頂いた文献です。少なくとも通常の査読プロセスがあり、査読者からの様々な修正要請に基づき修正を施して出版に至った文献であるということは申し上げておきます。この出版社は新興企業として現在の状況にありますが、真面目に学術書籍出版社としての活動を行っていることは事実です。 |
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